M&Aの用語でPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)という言葉がある。簡単に言うと買った会社の価値を最大化する作業である。メーカーの買収であれば経営・技術・思想の統合を行うことになるのだが、だいたい世の中で行われているのは経営統合のみである。会計上の改善のみが行われ、技術のシナジーや思想の統合は難しいとされている。我々は内製化・共同製品開発支援という本音を言い合って泥臭いシステム開発をする支援実績が多数あり、どうやって他の会社とチームを組んで技術改善するのかや、どうやって他の会社のメンバーと意識を共通化させるということを無意識に行ってきた。つまり、PMIで難しいとされる技術・思想の統合の知見が豊富である。買収というと良いイメージを持たない人が多いが、我々は良い技術を持っているのに成長できなくて困っている中小企業や後継者不在で存続の危機にある中小企業を買収し、今までの知見を利用して共に価値を最大化する組織を構築したいと考えている。創業して2年の岐阜の小さな会社が何を言っているのかと拒絶されることがまだ多いが、17社の大企業の導入実績や我々の人格が一部では認められてきており、今後2~3年の間に数十億~数百億の会社が我々と共同体になる未来が私たちには見えている。製造業は製造していれば良いという流れは変わり、2~3年の間に経営に強く、自社で低コストなITシステム・ロボットシステム・検査システムを構築することが求められてくる。その際に私たちの経営・M&A・画像検査・画像計測という経営陣のスキルが役に立つと考えている。
また、創業して1年経った頃に明治大学の野田稔先生(経営学の師匠)に「君たちの経営手法は経営学で流行しているエフェクチュエーションだよ」と教えてもらった。何も知らずに、お金がないから投資を少なくし、人も雇わず、マーケティングもせず、ただガムシャラに働いた。これがエフェクチュエーションの原理原則そのままであった。特にクレイジーキルトの法則を使いこなしており、リソースはパートナー企業から獲得し、営業部隊・研究部隊・サポート部隊は100人以上いるが、私たちはお金は払っていない。自分たちの未来を語り、顧客を獲得し、パートナーに利益を出し、実績を元に新しいパートナーを口説く。我々は従業員としては2人であるが、100人以上の従業員と数十億円以上の予算を動かす、中小企業連合のような存在になってきている。メーカーである以上は技術力は重要であるが、今の時代は技術だけでは食べていけない。PMIやエフェクチュエーションのような経営学を併せ持つ新興メーカーのみが成長できると考えており、経営学を強化して成長していきたい。
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