もう10年以上前になりますが、サッカー女子の日本代表選手で日本をワールドカップ初優勝に導いた澤穂希さんの「わたしは、何も一番じゃないんです」という言葉が今でも私の中に残っています。
①平均的な能力
2011年の世界最優秀選手(バロンドール)に選ばれた澤さんですが、運動能力テストはどの種目もチームの平均的な選手で、飛びぬけて得意な種目もなければ、飛びぬけて苦手な種目もないそうです。だからこそ、自分の能力を謙虚に受け入れたうえで、自分が出来る最大限の方法で結果を出してきたというのは学ぶところが多いです。
②人を動かす力
バロンドールを獲得した時も、「このような素晴らしい賞をいただけたのは、会長、監督、コーチ、チームメート、家族、友達、今まで女子サッカーにかかわってくれた、すべての方々のおかげだと思っています」と語っています。また、「サッカーは1人でやるものではない」と事あるごとに語っており、チームで団結することの重要性も語っています。このように関わった人たちに感謝し、人を動かす力はリーダーに必要な能力だと思っています。
③自分との共通点
私も今まで色々学んできましたが、機械・電気・光学・ソフトウェア・画像処理など飛びぬけて得意な分野もなければ、飛びぬけて苦手な分野はありませんでした。ただ、研究者としていきていくためには、飛びぬけて得意な分野がなければ生きていけませんし、広く浅くを極めていくと便利屋のように扱われて、忙しいわりには対価が得られないということで悩むことが多かったです。そんな中で、「わたしは、何も一番じゃないんです」という言葉に救われて、自分を最大限に活かす方法を社会人になってから考えてきました。
④自分のポジション
見つけたポジションは、画像検査機も一人で作れるものではなく、様々な研究者・開発者の協力があって創りあげるものですが、全体をまとめられる幅広い知識を持った人材がいないことに気づきました。また、研究分野、エンジニアリング分野のどちらの知識もある人材がいないことにも気づきました。私一人では何もできませんが、様々なプロフェッショナルの能力をリンクさせて難易度の高い画像検査機を創りあげるリーダーとして振る舞うことが、私の最大の武器であることに10年目にしてたどり着きました。
このように私の最大の武器は「様々なプロフェッショナルの能力をリンクさせて、難易度の高い課題を解決すること」です。澤穂希さんのように一番じゃないし、一人では何もできないと謙虚に受け入れたうえで、様々な研究者・開発者と協力していきながら世界に役立てられるような製品・ソリューションを生み出していきたいと思います。